戦争はなぜ起こってしまうのか?愚かな行為に人間はなぜ手を出してしまうのか? 中野信子 脳科学者

愚かな戦争はなぜ起こってしまうのか?

愚かな行為だと分かっていて、なぜ人間は、戦争に手を出してしまうのでしょうか?

戦争を、

「異なった意見の対立で起こる」

と仮定した場合、人間の99%は、自分と異なる意見に対して不寛容です。

違う意見に不寛容な人々

大災害や大不況が起こるなど、社会が大きなショックを受けた状態の時に、みんなの為に何かしたいという気持ちが生じるのはごく自然な事ですよね。

「世の為、人の為に自分に何が出来るだろう」

という気持ちが生じた時、実は、人間は、不寛容な気持ちになってしまいやすいのです。

なぜかというと、

「自分が世の為、人の為に何かしているのに、それに協力しないとは何事だ」

という気持ちも同時に高まるからです。

「お国の為に」

であるとか

「自分は贅沢していないのに、あの人は口紅つけてる…」

「うちはお茶で我慢しているのに、あの家はお酒を買っている…」

といった些細な事でも、凄く目に入るようになります。

世の為、人の為という気持ちが強まれば強まるほど、不寛容性というのは高まるという事を、なんとなくご理解頂けたのではないでしょうか。

違う意見に寛容な1%の人々

戦争中は、花を飾る事や、大声で笑う事すら、なんとなく許されない空気がありました。

人間の99%は、自分と異なる意見に不寛容だと言ったのには理由があります。

実は、不寛容にならないタイプの人が1%存在するのです。

戦争中に、

「花を飾っても、大声で笑ってもいいじゃないか」

というタイプの人です。

こういったタイプの人は、とてもいい人のように感じますよね。

ですが、

「世の為、人の為に誰かをバッシングしよう」

という気が起こらない、合理的すぎる人達なのです。

今でいう所の

サイコパス

と呼ばれるような人の事です。

他人への共感性が薄く、自分にとって得かどうか合理的にしか考えないような人達です。

誰かをバッシングしたとして、世の為、人の為にはなったとしても、自分には何の得も無いので、バッシングしないだけの話なのです。

バッシングをしないので、一見、寛容風に見えるのですが、本心は冷たく、信用するには足りない人達なのです。

他人をバッシングする快感

人を叩く行為というのは、そもそも気持ちがいい事として、人間の脳にプログラムされています。

人を叩くプログラムが過剰に発動した状態は、大災害や戦争の時に起きやすいため、より戦争が激化する方法に進み、どちらかが倒れるまで、続いてしまう傾向にあります。

世の為、人の為を思うがゆえ…

世の為、人の為を思う気持ちゆえの、不寛容な気持ちが、行き過ぎる行動に繋がってしまいます。

その結果、

「非国民!」

「裏切者!」

といった発言に繋がったり、よそ者を差別する、排外主義になってしまったりします。

ヒトラーによる悲劇

このような人々の快感や義侠心を利用して、勢力を拡大した人物が、第二次世界大戦中に誕生しました。

それが、ヒトラーという人物です。

彼は、人々の善意の不寛容を利用するのが、非常に巧みでした。

そして、自分の能力によって勢力を拡大し、台頭していったのがナチスであったと解釈できます。

移民に不寛容なイギリス

ヒトラーによる悲劇は、現代でも他人事とは言えません。

移民に対して不寛容な英国は、EUを離脱する決断をしました。

フランスでは国民戦線が台頭してきており、やはり移民を排斥して、EUを抜け出そうという主張をしています。

戦争前の匂いが色濃くする、非常に心配な状況にあります。

悲劇を繰り返さない為に

ヒトラーのような人物に利用されてしまわないために、

「気持ちいい事を言う人だな」

という人が現れたら、ちょっと怪しいぞと感じる、訓練をしておく事が大切であると考えます。

「気持ちいい」

という気持ちになりかけたら、尚更

「操られているかも」

と疑ってかかる事が大切です。

また、誰かをバッシングしたいと思ってしまったら、

「快感に中毒しそうになっているかもしれない」

と考える癖をつけて欲しいと思っています。

メディアで流れる情報を、そのまま鵜呑みにする事は、非常に危険な事です。

人間の脳は、そもそも自分と異なる考えには不寛容です。

戦争をしたい人に、それを利用されないように注意しましょう。

参考図書:あなたの脳のしつけ方    
 

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